オオグス エイゾウ   Ogusu Eizo
  大楠 栄三
   所属   明治大学  法学部
   職種   専任教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2013/01
形態種別 大学・研究所紀要
標題 男性一人称語りのストラテジー―パルド=バサン『あるキリスト教徒の女』と『試練』(1890)―(前篇)
執筆形態 単著
掲載誌名 明治大学教養論集
巻・号・頁 (489),1-98頁
概要 パルド=バサンは本連作以後,大半の作品で,全篇にわたって〈1人称の語り〉を用い,当然1人称の採用によって,小説の書き出しは劇的な変容を見せている。従来この変容は,作者のロシア小説への傾倒に拠るものとして解釈されてきた。
 しかし,この変容は当時作者が公言しはじめたフェミニズム的主張と関連づけて解釈すべきであり,本連作の場合,同時代の不甲斐なく信用ならない〈男性を告発する〉という女性作家の意図を読み取ることができる。この解釈は主に次の4点にもとづく――
(1)書き出し:作者とタイトルの〈女性性〉と1人称の語り手の〈男性性〉とのズレ 
(2)(女々しい)主人公=(信頼できない)語り
手「わたし」の帯びる〈女性性〉 
(3)女性登場人物たちの見せる〈男性性〉 
(4)終行の描写:詩的・擬古的文体における主人公の〈
女性性〉
ISSN 0389-6005