オオグス エイゾウ   Ogusu Eizo
  大楠 栄三
   所属   明治大学  法学部
   職種   専任教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2009/09
形態種別 大学・研究所紀要
標題 書き出し風景描写のレトリック―パルド=バサン『母なる自然』(1887)―(前篇)
執筆形態 単著
掲載誌名 国際関係・比較文化研究
巻・号・頁 8(1),71-99頁
概要 パルド=バサンの初期小説第6作『母なる自然』(1887)は,作中人物の登場しない降雨の描写で始まっている。この純粋な風景描写は,「見つめる人」が設定されない上下2分割の構図という点で,彼女のどの作品とも著しく異なる書き出しである。従来の研究で本小説のモデルとして次の3作品が挙げられてきた――『ムーレ神父のあやまち』(1875),『ポールとヴィルジニー』(1788),『ダフニスとクロエー』(3C)。書き出しの風景描写はどの作品に依拠したものなのか。この考察によって,1880年代中葉にパルド=バサンが目指していた小説美学,すなわち,同時代(自然主義)への同調なのか,一世代前(ロマン主義)への懐古なのか,それとも古典(ギリシア・ローマ文化)への憧れなのかを伺い知ることができる。紙幅の関係から,「前篇」はゾラの小説との比較検証までとなった。
ISSN 1348-1231