タハラ カズクニ
TAHARA KAZUKUNI
田原 一邦 所属 明治大学 理工学部 職種 専任教授 |
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研究期間 | 2008~2009 |
研究課題 | 合成化学に基づく表面ナノ空間ならびに電極―パイ電子接合系の構築 |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 特定領域研究 |
科研費研究課題番号 | 20027010 |
キーワード | 表面・界面物性, 走査型プローブ顕微鏡, 有機化学, 固液界面, 自己組織化, 麦面・界面物性 |
代表分担区分 | 研究代表者 |
代表者 | 田原 一邦 |
概要 | これまで、電極-分子接合を構築する方法として、チオールと金表面における共有結合による方法が広く用いられてきたが、その電気伝導性は必ずしも良くなく、より効率的な接合の開発が切望されている。本申請課題では、合成化学的な観点から分子の自己集合を制御し、金属表面に2次元もしくは3次元的に定義された空間を創出し、そこへパイ共役分子を吸着させ接合し、その構造と電気伝導性を走査型トンネル顕微鏡(STM)により明らかにすることを目的とした。 申請者らはこれまでに、直鎖アルキル基により置換されたデヒドロベンゾ[12]アヌレン(DBA)誘導体を用いた有機溶媒/グラファイト界面における2次元多孔性ネットワークの形成について報告している。この結果をもとに本年度は、1、2、4-トリクロロベンゼン/金(111)界面においてこのDBA誘導体が形成するネットワークに関する調査を系統的に行った。結果として、様々な鎖長のDBAが金(111)上においても多孔性のハニカム構造を形成することが分かった。空孔の大きさはアルキル鎖長に応じて制御可能であり、直径3nmから5nmの空孔を金基板上に形成させることに成功した。なお、用いるDBAのトリクロロベンゼン中の濃度調整が多孔性のネットワーク形成への鍵となった。次に、形成させた多孔性のネットワークの空孔へのゲスト分子の共吸着について調査した。興味深いことにデシロキシ基により置換されたDBAが形成するハニカム構造の空孔に、1分子のコロネンと6分子のイソフタル酸から形成される六角形の異分子クラスターが共吸着されることが分かった。有機溶媒/金(111)界面におけるこのような構造制御に関する成果はこれまでに知られておらず非常に興味深い。また、この固液界面において構築された2次元分子ネットワークは溶媒を除いた条件においても構造が保たれることも明らかにした。以上のように、金基板上で接合場の構築と接合の形成に成功した。 |