タハラ カズクニ   TAHARA KAZUKUNI
  田原 一邦
   所属   明治大学  理工学部
   職種   専任教授
研究期間 2009~2010
研究課題 固液界面における不整合分子ネットワークの構築
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 新学術領域研究(研究領域提案型)
科研費研究課題番号 21111511
キーワード 表面・界面物性, 走査型プローブ顕微鏡, 有機化学, 固液界面, 自己組織化
代表分担区分 研究代表者
代表者 田原 一邦
概要 最近、有機分子の自己集合により固体表面で形成される2次元分子配列の構造制御に多大な関心が集まっている。本課題では未知の構造制御因子の解明を目的として、不整合の導入を鍵とした、1、エントロピーの与える配列形成への影響の調査、2、分子配列のドメインの大きさと形状の制御、3、五角形分子を用いた分子性準結晶の構築の三つの課題に取り組んだ。 1では、異なるアルキル鎖により置換されたデヒドロベンゾ[12]アヌレン(DBA)を合成した。この分子は、C3対称とC2対称の二つの構造を形成した。また、用いる溶媒により、形成される構造の比率が異なることが分かった。このことは、空孔における溶媒分子の共吸着によるエンタルピー的な安定化が二つの構造の選択性に影響を与えていること示している。結果として、ネットワーク形成に与えるエントロピー効果を評価することはできなかった。2の目的に関係して、三角形のDBAと菱形の縮環型DBAを混合して実験を行ったところ、二つの分子が表面で任意に混合した構造が形成されることが分かった。混合した構造の安定性について、温度め与える影響やモンテカルロシュミレーションにより現在詳細に調査を行っている。3については五角形状の分子が形成する固体表面上での配列について詳細に調査した。その結果、アルキルエステル基により置換された分子は、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)/グラファイト界面では配列した構造を形成するが、TCB/Au(111)界面においては乱れた構造体を形成することが分かった。異なる基板を用いることで、分子配列が変化することが明らかとなった。このことは、基板の種類に依存して分子間相互作用と分子-基板間相互作用のバランスが変化したためだと考えられる。 本課題により二次元分子配列の制御に関する重要な多くの知見を得ることができた。