ニシムラ ワタル
NISHIMURA Wataru
西村 弥 所属 明治大学 政治経済学部 職種 専任教授 |
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研究期間 | 2013/04~2016/03 |
研究課題 | (研究代表者)「『民営化』された政策分野における行政の守備範囲の変容に関する研究」(課題番号:25780097) |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 独立行政法人日本学術振興会 |
研究種目名 | 若手研究 (B) |
代表分担区分 | 研究代表者 |
代表者 | 西村弥 |
概要 | 一般に、民営化については、regulationの面では「法による統制から、市場による統制へ」、deliveryの面では「法令に基づく直接供給から市場原理に基づく民間によるサービス提供へ」の変化であると論じられることが多い。しかしながら、わが国における「民営化」は「特殊会社」化を意味している。特殊会社には、1)特別の法律により設置されていること、2)株式の一部は政府が保有していること、3)ただし国の関与は公社・公団等の特殊法人よりも少ないこと、4)事業の拡大等も容易であること、などの特徴がある。これは、「民間企業」に比較的近い形態でありながら、設置根拠法および株式所有に基づく政府による一定のコントロールを維持しうることを示唆している。 そこで、本研究では、民営化の実施時期、あるいは、所管する事業分野等に配慮しながら、完全民営化ではなく、民営化が選択されてきた要因(政府による関与を残す要因)について精査を進める。それらの作業を通じて、「その事業(サービス)の必要性に関する判断や、とくに政府の方針と関係するような事案に関する経営方針の決定は市場にゆだねないが、供給は市場を通じて行うこと」を実現するための手段として、「民営化」が選択されてきたことを明らかにする。 「民営化」が供給方法の変更にとどまるとしたとき、「行政の守備範囲」は本質的に変化したといいうるのか、また、「得られた『成果』は市場のおかげ、生じた『問題』は政府のせい」となりやすい構造であるわが国の「民営化」がもたらす課題は何か、に論及することが本研究の最終的な射程である。 |