ナガトモ ヤスユキ   NAGATOMO Yasuyuki
  長友 康行
   所属   明治大学  理工学部
   職種   専任教授
研究期間 2000~2001
研究課題 等質空間と変分問題
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(C)
科研費研究課題番号 12640058
キーワード 積分幾何学, 等質空間, 対称空間, Kahler角度, 極小曲面, 変分問題
代表分担区分 研究分担者
代表者 田崎 博之
概要 研究代表者は積分幾何学の手法を等質空間内の変分問題に応用するために、Poincareの積分公式の具体的な表示に関する研究を進めた。複素射影空間内の実曲面に対するそのKahler角度によるPoincareの公式の具体的表示を求めた。部分多様体の交点数の積分を部分多様体の体積の積で表せない場合の始めての具体的なPoincareの公式の表示が得られたことになる。その後このPoincareの公式を一般化し、一般次元の部分多様体に関するPoincareの公式を表示するために、Kahler角度を拡張した概念:多重Kahler角度を導入した。多重Kahler角度による一般の部分多様体のPoincareの公式の具体的表示をさらに進めた。この結果、部分多様体の多重Kahler角度の積分と体積に関する不等式を導くことができ、これらの幾何学的量に関する変分問題を扱うための道具が整ってきた。多重Kahler角度は部分多様体の基本的な量であり、Poincareの公式の表示以外にも活用が期待できる。分担者:高橋と共同で複素射影空間以外の複素構造を持つ等質空間でも類似のPoincareの公式の具体的表示を求めることができた。また複素構造を持っていない等質空間であっても線形イソトロピー表現がいい性質を持っていれば、部分多様体のPoincareの公式の具体的表示が得られることがわかった。これらの研究で群作用の軌道の幾何学が積分公式の具体的表示を得るために有効であることがわかった。Kahler角度やそれを一般化した多重Kahler角度は、群作用の軌道の幾何学の観点から生まれたHermann作用によって説明できる。Hermann作用については分担者:井川と共同で軌道の基本的性質をいくつか明らかにした。今後群作用の軌道の幾何学も重要になると思われる。