サクヤマ タクミ
SAKUYAMA Takumi
作山 巧 所属 明治大学 農学部 職種 専任教授 |
|
言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2013/12 |
形態種別 | 学術雑誌 |
査読 | 査読あり |
標題 | 農業保護の透明性と世論の認識-EU共通農業政策による「最適な不明瞭さ仮説」の検証- |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 2013年度日本農業経済学会論文集 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 日本農業経済学会 |
巻・号・頁 | 305-312頁 |
概要 | 本稿では,「農業保護の透明性が高まるとそれに対する世論の反発が強まる」という「最適な不明瞭さ仮説」の真偽について,EUの共通農業政策の事例を用いて検証した.その結果,EUでは2000年代の半ば以降,農業補助金の受益者情報の公開を通じて農業保護の透明性が大きく向上したにも関わらず,欧州委員会による世論調査での共通農業政策に対する肯定的な意見は,2000年代半ば以降で見るとむしろ増加傾向にあった.また,世論調査の国別の回答結果を用いた統計的な検証でも,受給者情報の公開に先行的に取り組んだ加盟国と後発の加盟国との間では,共通農業政策に対する世論の賛否に有意な差異は見いだせなかった.こうした結果は,「最適な不明瞭さ仮説」が,少なくとも近年のEUの共通農業政策には当てはまらないことを示している.なぜなら,同理論は,①利益集団への所得移転のために政府が保護手段を選択する→②保護費用を認識した納税者が反発する→③政府がより不透明な保護手段へ転換する,という因果関係を想定しているのに対して,EUの事例では,①でより透明性の高い保護手段に転換したにもかかわらず,②で納税者による農業保護への支持の低下が観測されなかったからである. |