スズキ タカナオ
SUZUKI TAKANAO
鈴木 孝直 所属 明治大学専門職大学院 明治大学グローバル・ビジネス研究科 職種 専任教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2023/10 |
形態種別 | 学術雑誌 |
標題 | 税務に関するコーポレートガバナンスの更なる充実に向けて -企業と税務当局の協働の視点から- |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 租税研究 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 日本租税研究協会 |
巻・号・頁 | (888),322頁-330頁頁 |
総ページ数 | 9頁 |
概要 | 課税関係について、なぜ納税者と課税庁の間で見解の相違が生じるか。それは、文字で表記される法令は全ての経済取引を想定して課税要件等を詳細に規定できないからである。その結果、法令には解釈の余地が残るが、これにより個々のケースに応じた適切な課税処理が確保されるメリットがある一方で、納税者と課税庁の間に見解の相違が生じ得るため納税者からすると将来を確定できないという不安定さもある。
申告納税制度を前提としてこの構造を全体から眺めると、見解の相違は特段異常なことではなく、通常プロセスで生じる想定内の現象であるように思われる。しかし、特に大企業においては、ある経済取引に伴う税コストは経営判断上の重要な要素であることが多いため、後の裁判で課税処理の適不適が判明したのでは遅く、ある経済取引の実行前に自らの税務判断が正しいか明らかにし税務リスクを最小にしたいという事情もわからなくはない。 税務リスクを下げるには、納税者である大企業が税法趣旨を踏まえ保守的な判断をすれば済むことという見解もあり得るが、そうすると本来の納税義務以上に税負担することが妥当なのかという問題もある。 以上のような点も考慮しつつ、一般に「予測可能性」と呼ばれるものの内、超大企業が関わる部分に対象を限定して、税務リスク軽減策について納税者と課税庁との協働という観点から、若干の提言を行うものである。 |