オオグス エイゾウ
Ogusu Eizo
大楠 栄三 所属 明治大学 法学部 職種 専任教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2005/09 |
形態種別 | 大学・研究所紀要 |
標題 | 「名指し」の儀式化―『パスクアル・ロペス』とピカレスク小説の書き出し― |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 国際関係・比較文化研究 |
巻・号・頁 | 4(1),21-68頁 |
概要 | 本論は,パルド=バサンの処女小説『パスクアル・ロペス:ある医学生の自伝』に焦点を当て,作家みずからが模倣に努めたと公言するピカレスク小説の代表作2作品と,作中人物がどのように導入されるか,どのように「名指し」されるのかという観点から比較し,小説の「書き出し」が内包する歴史性を明らかにするものである。 『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』(1554?)や『ぺてん師ドン・パブロスの生涯』(執筆1604?,出版1626)と類似するのは,主人公が語り手となって一人称体でみずからの体験を語る点のみである。逆に,『パスクアル・ロペス』には,固有名を使って作中人物を「名指し」するケースが多く,その上,「名指し」そのものが儀式化――「二重の未知」の形成→「紹介の儀式」→「二重の未知」の解消といったプロセスを経て,作中人物が初めて「名指し」されるという仕組みが規範化――するなど,名指しに関して大きな差異が存在する。これは,本小説を黄金世紀のピカレスク小説から弁別し同時代の作品と連結させるテクスト上の現象,すなわち,「書き出し」の歴史性を顕現化するものだと見なせるはずである。 |
ISSN | 1348-1231 |