サクヤマ タクミ
SAKUYAMA Takumi
作山 巧 所属 明治大学 農学部 職種 専任教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2007/09 |
形態種別 | 大学・研究所紀要 |
標題 | 農業の多面的機能を巡る我が国の国際戦略-その成果と今後の課題 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 農林水産政策研究所レビュー |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 農林水産省農林水産政策研究所 |
巻・号・頁 | (25),16-19頁 |
概要 | 本稿の狙いは、農業の多面的機能に関する国内外の主要な議論に当事者として関わってきた筆者の実務経験を踏まえて、我が国の多面的機能に関する国際戦略の成果と今後の課題を評価しようとするものである。国際戦略の達成度を評価結果は次の通りである。まず、「多面的機能の概念や定義に関する共通理解の確立」と言う第1の段階については、主にOECDでの作業を通じて、国際的に通用する共通の概念や定義が確立され、また、特にASEANプロジェクトを通じて、東南アジアを中心とする開発途上国における理解も進んだことから、相当の成功であったと言えよう。次に、「多面的機能に対する政策介入のあり方に関する共通理解」と言う第2の段階については、開発途上国においては、慣行的な農業生産自体があまねく多面的機能の発揮につながるという認識は乏しい上に、そうした非経済的な機能に対する政策需要や財政資金が乏しいことから、多面的機能の存在が政策介入に直結するという構図になっておらず、むしろ日本のような先進国とは大きな違いがあることが明らかになった。最後に、「国際交渉における支持や協調」と言う第3の段階については、政策介入のあり方を巡る先進国と開発途上国との考え方の違いに加えて、開発途上国の影響力が高まるにつれて、今次WTO交渉では開発途上国に対する例外措置(S&D)が大幅に拡大される方向で議論が進み(例えば特別品目の創設)、総じて言えば戦略的な観点からも、開発途上国は先進国と協調しないほうが得策と言う想定外の構図になった。 |