サクヤマ タクミ
SAKUYAMA Takumi
作山 巧 所属 明治大学 農学部 職種 専任教授 |
|
言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2002/07 |
形態種別 | 学術雑誌 |
標題 | 農業の多面的機能-政策手段を巡る日欧の相違の背景 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 農業と経済 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 昭和堂 |
巻・号・頁 | 68(8),109-120頁 |
概要 | 本稿の課題は、多面的機能を重視する「目的」のレベルでは軌を一にする日本と欧州諸国が、それを維持するための「政策手段」のレベルでは主張が異なる要因を解明することである。
まず、日本では、水田農業に由来する国土保全機能等が重視されており、これは慣行的な水田耕作を維持することにより自動的に発揮される機能であるが故に、多面的機能発揮のために農業生産の集約度を管理するのではなく、農業生産活動そのものを維持することが重視されている。こうした中で、コメに代表されるように農業の競争力が先進国の中では極端に低いことから、国境措置に大きく依存した農業保護構造となっており、これが農業生産を維持すれば多面的機能も維持されるという発現形態と相まって、生産にリンクした市場価格支持が必要との主張につながっている。 これに対して、畜産・畑作農業が主体の欧州諸国においては、重視される景観や生物多様性といった機能は農業生産の集約度を適切に管理してはじめて維持される機能であるが故に、政策効果が一律に及んで集約度を管理し得ない市場価格支持が多面的機能のための政策手段とは見なされていない。また、特にEU諸国では、技術進歩によって農業の競争力は向上しつつあり、こうした中での市場価格支持を通じた農業保護は、生産過剰とそれに伴う輸出補助金の増大をもたらす副作用も伴う点でも回避されつつあり、多面的機能の適切な発揮のためには、集約度を適切に管理し得るクロスコンプライアンス支払いや生産制限を伴う直接支払いが最適と考えられている。 |
ISSN | 0029-0912 |