イシワタリ ミキオ   ISHIWATARI MIKIO
  石渡 幹夫
   所属   明治大学  経営学部
   職種   特任教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2021/03
形態種別 大学・研究所紀要
標題 交通インフラ整備を巡る都市間競争 -チェサピーク・オハイオ運河を事例に-
執筆形態 共著(筆頭者)
掲載誌名 国際地域学研究
掲載区分国内
出版社・発行元 東洋大学国際学部
巻・号・頁 24,163-173頁
担当区分 筆頭著者
著者・共著者 石渡幹夫
概要 官民連携や市場原理を取り入れる社会資本整備は広く実施されているところである。民間が主導するか、国がマスタープランを作り長期的かつネットワーク的な視点から整備するか、その手法はそれぞれの国の歴史的な背景や成長の段階によって異なる。日本では社会資本整備にあたり、長期的な計画に基づき多くの公的資金を使って整備を進めてきた。明治期の鉄道建設においては、1872年の新橋・横浜間の開通以降、1893 年には国が計画的に責任をもって鉄道建設を推進するため、鉄道敷設法が制定されている。戦後、国全体の開発のマスタープランとして全国総合開発計画が、分野別では長期整備計画が策定され、インフラ整備が進められた。こうした整備手法に対して、1990 ~ 2000 年代にかけて、資源配分を硬直的なものとし、経済動向や財政事情を迅速に事業へ反映することを困難にしている、との批判を受けた(太田2008)。全国総合計画は現在では国土形成計画に、分野別の長期整備計画は社会資本整備重点計画に変更されている。
本稿は19 世紀のチェサピーク・オハイオ運河建設を巡る都市間の競争を題材に、交通インフラ整備の手法について検討を行う。ワシントン首都圏からポトマック川をさかのぼり西部を繋ぐ運河建設を巡っては開発のマスタープランや整備計画が作成されることはなく、それぞれの事業ごとに株式会社が設立され推進された。コロンビア特別区に属するワシントン市、ジョージタウン市、アレクサンドリア市、メリーランド州に属するボルチモア市の間で、自分たちの立場が有利になるよう、駆け引き、競争が繰り広げられた。現地調査、既往研究レビュー、統計資料分析により運河建設を巡る事業の経緯を検討し、株式会社方式による市場原理に基づくインフラ整備手法について考察する。
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