ニシモト コウジ
NISHIMOTO KOJI
西元 宏治 所属 明治大学 法学部 職種 専任教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2005/09 |
形態種別 | 学術雑誌 |
標題 | Ethyl事件の虚像と実像--NAFTA第11章仲裁手続とカナダにおける貿易・投資の自由化の一局面(上) |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 国際商事法務 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 国際商事法研究所 |
巻・号・頁 | 33(9),1193-1203頁 |
著者・共著者 | 西元 宏治 |
概要 | 投資協定仲裁(ISDS)を批判する論者によって、国家の正当な規制権限を制約したとされるEthyl事件の背景の検討を通じて、本件がISDSによる「敗訴の威嚇」ではなく、既存の環境規制の体系であるカナダ環境保護法の下で大気中の有害物質(MMT)使用の有害性を証明できなかったカナダ連邦政府が、MMTに対して規制を通商権限に基づくカナダ国内への輸入と州際間での流通を禁止したために、石油産業を擁するアルバータ州が国内通商協定紛争処理手続という特殊カナダ的な手続に訴えたことよって撤回されたことを明らかにした。と同時に、一連の事態が、経済のグローバル化による「管轄権の束としての主権」の凝縮性の低下が、カナダにおける連邦と州の政府間関係が抱える固有な文脈のもとで、アルバータ州が従来の連邦制では貫徹できなかった地域的利害の実現のために法制度化の進展を積極的に利用した結果であることを明らかにした。
以上の検討から、国際関係における法制度化とそれに伴う従来の規制体系の再編が規制分野毎の偏差を伴うものであり、ISDSに対する評価やその意義の分析も、同制度をめぐる複数の文脈とその変化に留意しながら進められる必要があることを指摘した。 |
ISSN | 02877511 |
NAID | 40006914971 |