ナイトウ アサオ
Naito Asao
内藤 朝雄 所属 明治大学 文学部 職種 専任准教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2013/06 |
形態種別 | 新聞記事 |
標題 | いじめ防止法についてのコメント
『東京新聞』2013年6月28日(日刊)第28面 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 『東京新聞』2013年6月28日(日刊)第28面 |
概要 | 「外の社会と同じように学校に司法の手が入るならば、暴力犯罪系のいじめには効果があるだろう。しかし、法は学校の閉鎖的な生活環境を改善する策を示していない。これは致命的な欠陥だ」。明治大学の内藤朝雄准教授(社会学)は悲観的な見方を示した。
(中略)ただ、いじめ対応について問題がある。学校側と警察が連携して対処するのは「(いじめが)犯罪行為として取り扱われるべきものと認める時」、ただちに通報するケースは「児童らの生命・身体、財産に重大な被害が生じる恐れがある時」と限定している。 こうした規定では、どんなに悪質な「コミュニケーション操作系いじめ」が行われてても、犯罪行為や、生命・身体の危険ではないと判断され、放置される危険がある。同法が警察に通報するかどうかの判断を学校に任せていることも問題で、内藤氏は「生命などに危険がなければ通報しなくていい口実を学校に与えることになる。結果として、いじめ隠ぺい促進法になる」と警告する。 同法は「コミュニケーション操作系いじめ」を含め、いじめを行っている児童らを出席停止とすることを認めているが、これについても「丸く収めたい」学校側がきちんと対応するか、わからない。 「コミュニケーション操作系いじめ」にどう対応すればいいか。内藤氏は「長時間狭い教室に同じ人たちを閉じ込めることをやめればいい」と指摘する。固定的で閉鎖的な人間関係の中では「コミュニケーション操作系いじめ」はエスカレートしやすく、しかも逃げ場もない。 これを解消するため、現在の学級制度を抜本的に見直して、例えば、授業ごとにそれぞれの子どもが移動し、顔ぶれを変えることが大切だという。 「学校の閉鎖的な環境を見直さなければいじめは抑制できない。通報についても、学校だけを主体とせず、被害者が学校を飛び越えて通報できる仕組みをつくることが大切だ」と内藤氏は強調した。 |