オオグス エイゾウ
Ogusu Eizo
大楠 栄三 所属 明治大学 法学部 職種 専任教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2010/03 |
形態種別 | 大学・研究所紀要 |
標題 | 書き出し風景描写のレトリック―パルド=バサン『母なる自然』(1887)―(後篇) |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 国際関係・比較文化研究 |
巻・号・頁 | 8(2),61-106頁 |
概要 | 「後篇」ではサン=ピエール『ポールとヴィルジニー』とロンゴス『ダフニスとクロエー』との比較考察をすすめ,『母なる自然』書き出しのレトリックを明らかにすると共に,それにもとづき独自の作品解釈を展開した。 『母なる自然』書き出しは『ダフニスとクロエー』の果実描写と際立った類似を見せるが,ロンゴスの描写はホメロス,テオクリトス,ウェルギリウスといったギリシア・ローマの詩人たちによって定式化されたトポスlocus amoenus(悦楽境)に倣っている。そして,パルド=バサンはバレーラによるカスティーリャ語訳『ダフニスとクロエー』を介してこのトポスを継承していたと見なせる。『母なる自然』において,書き出しから主人公二人の愛の成就に至る場の描写において,悦楽境を構成する「至幸」が漸次的に増加していくことから,パルド=バサンがlocus amoenusに則って,二人の愛を育む「母なる自然」の現出を企図した。作品全体として,「終行」に描かれた「継母なる自然」と対置させることにより,二つの自然観を提示しようとしたのではないかという解釈を示した。 |
ISSN | 1348-1231 |