ナガヨシ シンイチ   NAGAYOSHI Shinichi
  長吉 眞一
   所属   専門職大学院  会計専門職研究科
   職種   専任教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2018/02
形態種別 学術雑誌
標題 会計上の見積りの監査における監査証拠の十分性と適切性
執筆形態 単著
掲載誌名 拓殖大学 経営経理研究
掲載区分国内
出版社・発行元 拓殖大学経営経理研究所
巻・号・頁 (111),29-41頁
概要 会計上の見積りとは,ある項目を財務諸表に計上する場合,その項目の金額を正確に測定することができず,概算で計上することである。
経営者が財務諸表に会計上の見積りを計上する場合,計上条件が財務諸表作成時点では不確実であるため,経営者は当該項目の計上に関する別の情報を入手し,その情報に基づいて測定した見積りによらざるを得ない。その際に経営者の主観が介入し,経営者に中立性の欠如が生じる。その結果,財務諸表にRMMが発生しやすくなり,これが嵩ずれば不正な財務報告となる。
こうしたことから会計上の見積りに対する監査は非常に困難な作業となるが,会計上の見積りに関する監査証拠は,個別監査手続によって直接的に財務諸表項目を検証して得られる監査証拠とは異なり,また,一般監査手続によって得られる監査証拠とも異なる。会計上の見積りに関する監査証拠は,まさに会計上の見積りの「合理性」の検証にともなうものである。それは,会計上の見積り金額の計上に関する計算式の左辺にある計算要素の合理性を立証するものであって,計算式の右辺の金額を直接的に立証するものではないのである。
こうしたことから,会計上の見積りに関する監査証拠が監査基準のいう「十分かつ適切な監査証拠」足り得るのかどうか,非常に疑問に思えるものである。