ナガヨシ シンイチ   NAGAYOSHI Shinichi
  長吉 眞一
   所属   専門職大学院  会計専門職研究科
   職種   専任教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2018/03
形態種別 学術雑誌
標題 会計上の見積りに関するアンケート結果の分析と検討
執筆形態 単著
掲載誌名 『会計論叢』
掲載区分国内
出版社・発行元 明治大学会計専門職研究科
巻・号・頁 (13),37-51頁
概要 「会計上の見積りに関する監査研究会」が実施したアンケートの【Ⅰ 貴社の概要】と【Ⅱ 会計上の見積りに関する貴社の方針】について,長吉〔2017〕による分析結果と検討の概要を踏まえたうえで,詳細に分析し検討した。
まず,【Ⅰ 貴社の概要】の〔質問1〕の回答状況は15業種において4社以上の会社から回答を入手できており,この点を考えると本アンケートはほぼ全業種の意向を反映していると考えてよいであろう。そうしたなかで,〔質問4〕の連結財務諸表の作成について,選択肢1「日本の会計基準(JMISを含む JGAAP)」を採用しているという回答が160社(85.56%)を占めたことは,〔質問2〕の選択肢5の「外国証券市場には上場していない」という回答が178社(98.34%)あった事実と合わせて考えてみると首肯できるものであった。しかし一方で,連結財務諸表の作成に選択肢2の「米国会計基準(USGAAP)」を採用しているという回答が3(1.61%)社あり,選択肢3の「国際会計基準(IFRS)」を採用しているとする回答が13社(6.95%)あったという興味深い結果が得られた。
【Ⅱ 会計上の見積りに関する貴社の方針】の分析ではかなりの収穫があった。そのなかでいくつか気になる回答があった。次のとおりである。
まず,〔質問10〕で選択肢5の「社外の専門家は利用していない」とする回答が54社(22.31%)もあった。これは意外であった。〔質問11〕では,選択肢5の恣意性排除ための「方法は採用していない」という回答が62社(27.69%)あり,トップ回答であった。これは会計上の見積りの計上に関するガバナンスの観点から問題を抱えていると判断される回答であった。さらに,〔質問12〕で会計上の見積りの決定に関する取締役会決議の有無を問い,〔質問13〕で稟議書決裁の有無を問うたところ,いずれも「していない」旨の回答がトップであった。これは,会計上の見積りに関する会社の認識の低さと意思決定上のガバナンスの欠如がうかがえるものであった。〔質問15〕では,選択肢4の「公認会計士等と意見が一致しなくてもそのまま財務諸表を作成する」という回答が3社(1.63%)あり,選択肢5の「公認会計士等とは協議しない」回答が1社(0.54%)もあった。東証1部上場会社でこのようなことになっているとは意外であった。〔質問16〕では,選択肢5「監査役等は検証していない」とする旨の回答が14社(7.61%)あり,会計上の見積りに関する会社のガバナンスの欠如がうかがえた。〔質問17〕は差異分析の実施状況であり,選択肢5の「差異分析を行っていない」とした回答が7社(3.85%)あった。差異分析の重要性を考えると改善が求められるであろう。〔質問18〕は差異分析結果の事後の活用状況であり,ここでは選択肢5の「活用していない」とした回答が4社(2.27%)あった。活用していない理由は不明であるが,見積りの計上における事後の活用の重要性を考えると改善が求められるであろう。