オオグス エイゾウ   Ogusu Eizo
  大楠 栄三
   所属   明治大学  法学部
   職種   専任教授
発表年月日 2019/11/16
発表テーマ 鉄道と風景―1868年世代の小説において――
会議名 東京スペイン語文学研究会第199回
主催者 東京スペイン語文学研究会
学会区分 研究会・シンポジウム等
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
開催地名 東京大学駒場キャンパス
発表者・共同発表者 大楠栄三
概要 スペインで鉄道が開通した当時,初めて乗客となった作家たちは,その体験をいかにフィクション化したのか? 
 鉄道への萌芽的な言及から,鉄道の旅をモチーフとして活用したペレス=ガルドスの未発表小説『ロサリア』(1872?),パルド=バサンの『新婚旅行』(1881)へと考察をすすめ,本作ではじめて,登場人物が車窓から「すばやく動く風景」を関心をもって眺めるシーンが現れることを明らかにした。
 つづいて,この「動く風景に対する感受性」こそが,スペイン・リアリズム小説を代表するクラリンの『裁判所長夫人』(1885)とガルドスの『フォルトゥナータとハシンタ』(1887)の中に,スペインの田舎の景色や風物を描かせていったことを例証した。
 最後に,スペインで最初の「鉄道旅小説」を上梓したパルド=バサンが,最後の小説『愛しの主』(1911)ではまるで鉄道への関心を失ったかのよう。車窓からの風景が消え,関心が別の乗り物へ移ったかのようであることに触れた。