ミウラ タロウ
MIURA Taro
三浦 太郎 所属 明治大学 文学部 職種 専任教授 |
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発表年月日 | 2023/09/10 |
発表テーマ | 有山崧の第一線図書館観の変化 |
会議名 | 2023年度日本図書館文化史研究会研究集会(岩手県立大学アイーナキャンパス) |
主催者 | 日本図書館文化史研究会 |
学会区分 | 研究会・シンポジウム等 |
発表形式 | 口頭(一般) |
単独共同区分 | 単独 |
国名 | 日本 |
開催地名 | 岩手県立大学アイーナキャンパス(岩手県盛岡市) |
開催期間 | 2023/09/08~2023/09/10 |
発表者・共同発表者 | 三浦太郎 |
概要 | 有山崧は,戦後,日本図書館協会事務局長(1949-66)として図書館理解に関わる議論を主導したことで知られる。その図書館制度構想において,当初中心的な役割を担ったのは,第一線の市町村立図書館の背後からその機能を調整・指導・援助する第二線の都道府県立図書館であり,この種の「中央図書館こそ・・・新しい図書館体系における中核」と位置づけられた(「図書館は生きている」<1950>)。その後,大衆から新しい教養が生み出される際の「産婆役」として,図書館の役割に対する意識が変化する中で,第一線図書館こそが中心視されるようになり,「極言すれば第二線図書館は間接的存在で,第一線への援助部隊」と認識が変化した(「地域社会における公共図書館の課題」<1957>)。さらに1962年の訪欧時に,全国的に小図書館が設置されるデンマークや,図書館未設置の空白地域を分館や自動車文庫でカバーするイギリスの事例を目の当たりにし,建物ではなく資料こそが図書館の第一の構成要素であるとする認識の深まりが見られた。こうした経験は,「中小レポート」序文(1963)や『市立図書館:その機能とあり方』(1965)に凝縮されることとなった。本発表では,拙稿「有山崧の図書館思想」(『図書館の社会的機能と役割』松籟社, 2021, p.91-125)ではあまり取り上げなかった有山の訪欧経験を具体的に整理しつつ,その第一線図書館観の深まりを考察する。 |