ヤマモリ ミチエ   YAMAMORI MICHIE
  山森 理恵
   所属   明治大学研究・知財戦略機構・農場  国際連携機構
   職種   特任准教授
発表年月日 2021/08/27
発表テーマ 日本語教育における「共生」をテーマとした授業実践
会議名 第24回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム 16th EAJS International Conference共催
主催者 ヨーロッパ日本語教師会(AJE)およびヨーロッパ日本研究協会(EAJS)
学会区分 研究会・シンポジウム等
発表形式 ポスター
単独共同区分 単独
国名 ベルギー
開催期間 2021/08/26~2021/08/28
概要 本研究は中級から中上級向けの日本語学習者が対象の「共生」をテーマとした日本語授業の実践報告である。本実践は①異なる人が共に生きるうえでの問題点について考え、どうしたらそれが解決できるか、自分にできることは何かを考える、②日本語を使って①ができる、③わかりやすい伝え方ができる、これらを目標に行われた。
本実践では、学習者は日本語の共生について考える漫画・記事を読み、ディスカッションを行った。また、共生の問題をより弱い立場から考えるために日本に住む外国ルーツの子どものための学習支援教室を訪問した。日本における定住外国人は共生の問題における弱い立場の当事者であり、その子どもたちと接し、弱い立場の視点から共生について考えることを目指した。さらにグループで問題を選んで発表し、それについて意見を聞くインタビューも行った。本実践の受講生は24名であったが、研究協力の同意が得られた15名のデータをもとに、活動を通して学習者はどのように考えたか、作文、コメントシート、発表資料などに他者理解・共生の問題点・問題の解決方法・自分にできることに関する記述が含まれるかどうかを分析した。その結果、学期当初は共生の問題点や解決方法を指摘する学習者は一部であったが、学期の終わりには全員にそのような記述、または他者理解、自分にできることに関する記述のいずれかが見られた。一方で、解決策やできることに具体性のない学習者も多かった。対策として学習者にさらに意識づけをし、考えを深めるために議論する機会を設けるなどの対応が考えられる。
このように実践方法と学習者の反応を明らかにし、課題を検討することは、日本語授業は何を目指し、どのように実践していくべきかを考えるうえで重要である。このような事例を積み重ねることは今後日本語授業を通して異なる他者と共生する人を育てていくことに寄与すると思われる。